新事業・新分野の研究
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  1. フェムト秒レーザー加工技術
  2. 結晶育成技術
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極低酸素分圧制御技術
1.極低酸素分圧装置について
弊社はこのほど、極低酸素分圧制御装置の販売を開始しました。本装置に応用した極低酸素分圧制御技術は、かねてより独立行政法人 産業技術総合研究所殿と弊社との共同研究の中で、具体化を進めてきたものです。
弊社の極低酸素分圧制御装置は、アルゴンガス中の酸素分圧(気体においては酸素 濃度とほぼ同義)を10-30 atm以下まで低下することが可能です。10-30 atmの酸素分圧とは、幅・奥行きが各々100mの平屋建物(約37,200m³)に充満したアルゴンガスの中に、酸素分子が一つしかない状態に相当します。酸素の量が極度に少ないことにより、酸化抑止又は還元機能を発揮します。
従来、アルゴンガス中の酸素を除去するためには、フィルターや吸着材が使用されてきました。しかし、これらの手段によって酸素分圧10-9 atm(1ppb)以下に するのは、容易ではありません。酸素分圧10-9 atm(1ppb)のアルゴンガス雰囲気中では、大半の実用金属において酸化が進行(酸化膜が成長)して、電気抵抗の増加や接合性の低下を引き起こします。これによって、製品の性能を低下させたり歩留まりを悪化させたりする要因となります。酸化を抑止するためには、水素ガスを混合することが常套的に行われています。ただ、水素ガスを混合して得られる還元力には限界があり、爆発の危険性や脆化の影響もあるため、水素が使用できない場面は少なくありません。
極低酸素分圧状態のアルゴンを使用すれば、発火・爆発の心配が無く、材料の酸化抑制や材料からの酸素除去が可能になります。また、材料が水素により脆化する場合や水素吸蔵性を持つ場合にも、材料への影響を防止することが可能です。更に、目的に応じた酸素分圧のガスを生成することも可能です。結晶成長雰囲気として本装置で精製したガスを使うことにより、成長する結晶の酸化価数を制御する(一例を、後述「5.成果のご紹介」@項にて紹介しています)等の事例があります。
2.酸素を除去する原理
2次電池の電解液のように、液体中をイオンが移動することは良く知られた現象ですが、 固体でありながらイオン透過性を持つ材料があります。このような性質を持つ固体を総称して、固体電解質と呼びます。
弊社の極低酸素分圧装置は、酸素イオンを透過する固体電解質である酸化ジルコニウム(ジルコニア)を使って酸素を除去します。その原理は、以下のとおりです。
固体電解質を管状に成形し、内外面に電極を形成して電圧を印加します。
管の一端より市販のアルゴンガスを供給すると、不純物として含まれる酸素は内面電極上で電子を得て酸素イオンとなります。
酸素イオンは管壁を透過して外面電極へ到達し、電子を放出して酸素に戻ります。
酸素に戻った後には管壁を透過できませんので、管内に戻ることなく大気中へ拡散します。
こうして酸素は管内から外への一方通行で除去されます。
一方、アルゴンガスは固体電解質の管壁を透過することができませんので、そのまま管を通過していきます。
この結果、管出口では酸素を除去したアルゴンガスを得ることが可能となります。
3.極低酸素分圧制御装置「ULOCE-500」
弊社が製造・販売する極低酸素分圧制御装置ULOCE-500シリーズは、研究開発〜少量試作を想定した システムです。
ひとつの筐体内に酸素ポンプ、酸素センサー、循環ポンプ、ストレージタンク及び電気制御部を収納しています。
装置の稼動情報は本体前面のモニタ画面に表示し、操作はモニタ画面上のタッチスイッチにより行います。装置の基本的な動作シーケンスは、予め準備していますので簡単な手順で動作させることが可能です。
ユーザー様で動作シーケンスを作成頂き、記憶する領域も確保していますので、ご使用頂く条件・環境に応じた動作のカスタマイズが可能です。
装置内の危険源(高温部、充電部、圧力容器 等)については多重の安全構造になっています。
安全性・ 操作性については、国内法規・法令に準拠するのみならず、SEMI規格及びCE規格(機械指令、低電圧指令、圧力容器指令)の規定に適合しております。
4.仕様・性能
ULOCE-500の主要な仕様・性能は以下のとおりです。
項 目 仕  様 ・ 性  能
1.性能
@適用ガス
アルゴン、窒素、ヘリウム 及び それらの混合ガス
A到達酸素分圧
循環精製モード  ;1×10-30 atm以下@600℃
ワンパス精製モード;1×10-25 atm以下@600℃
B精製流量
3L/分(オプションにて最大5L/分まで拡大可)
2.装置構成
@酸素ポンプ
固体電解質管:3本
A酸素分圧センサー
測定範囲:2×10-1(大気)〜1×10-30 atm
設置位置:酸素ポンプ入口と出口の計2台搭載
(オプションにて1台追加可)
Bストレージタンク
容量:40L
圧力:200kPaG
数量:2本(オプションにて最大4本収納可)
C制御ユニット
シーケンサ
D表示・操作画面
15型 タッチパネル付きカラーLCD
3.設置関係
@ガス接続口
精製ガス供給;1/2VCR
材料ガス導入;1/4VCR
A用力
電気;AC 200V 50/60Hz 1φ 40A
圧空;0.6MPa,5L/分(間欠)
B外形寸法
幅;750mm×高;1850mm×奥行;1300mm (突起部除く)
C重量
450kg(オプション含まず)
4.その他
@オプション
データロガ用出力、リモート制御用入出力 他
◆お客様の用途に合わせたカスタム仕様のご相談に応じます◆
◆仕様・性能はお断り無く変更する場合があります◆
5.成果のご紹介
極低酸素分圧制御技術が有効な技術であることを確認するため、多方面のお客様に対して評価試験を頂いております。その成果を報告する論文の一部を、以下にご紹介します。
@
論文名
Highest conductivity oxide SrMoO3 grown by a floating-zone method under ultralow oxygen partial pressure
筆頭者
産業技術総合研究所 エレクトロニクス研究部門 量子凝縮物性グループ
長井 一郎様
掲載先
APPLIED PHYSICS LETTERS Volume87 (2005) 24105
A
論文名
Deoxidization of Cu Oxide under Extremely Low Oxygen Pressure Ambient
筆頭者
産業技術総合研究所 エレクトロニクス研究部門 先端シリコンデバイスグループ
主任研究員 遠藤 和彦様
掲載先
JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS Volume45 (2006) 393-395
B
論文名
極低酸素分圧雰囲気下でのTi単結晶の帯溶融育成
筆頭者
大阪大学 工学研究科
マテリアル生産科学専攻 助教 萩原 幸司様
掲載先
日本金属学会誌 第72巻 第12号(2008)928-934
C
論文名
Reduction of Moisture in Semiconductor Dry Process Equipment by Generating Extremely Low Oxygen Ambience
筆頭者
産業技術総合研究所 エレクトロニクス研究部門 先端シリコンデバイスグループ
主任研究員 遠藤 和彦様
掲載先
JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS Volume48 (2009) 08HH01
D
論文名
Influence of oxygen partial pressure on surface tension of molten silver
筆頭者
首都大学東京 システムデザイン学部
宇宙航空システム工学コース 助教 小澤 俊平様
掲載先
JOURNAL OF APPLIED PHYSICS Volume107 (2010) 014910
 
6.登録特許
特許番号 発明の名称 登録日
特許 第3749918号 酸素分圧制御による試料作製装置 2005年 12月 16日
特許 第3890070号 ガスポンプ 2006年 12月 8日
特許 第3921520号 酸素分圧制御による試料作成方法および試料作成装置 2007年 3月 2日
特許 第4285663号 酸素分圧制御装置及びガス供給方法 2009年 4月 3日
特許 第4412560号 ガスポンプ 2009年 11月 27日
◆産業技術総合研究所殿 他との共願特許を含みます◆
◆他、出願中特許多数あります◆
7.お問い合わせは・・・
装置、技術に関するお問い合わせは、sales@canon-machinery.co.jp へお気軽にお知らせ下さい。
サンプル評価にも対応いたします。